救急車に付き添いで乗った話

独身で働いていたころ、救急車に付き添いで乗ったことがある。

当時勤めていた会社は、かなりノルマが厳しかった。
毎朝、朝礼を行い、全員の月の目標達成率を発表する。
ノルマ達成に遅れをとっている人には、全員の前で上司より容赦なく指導が入る。
月の目標を達成できなければ評価に直結し、次年度の昇給にも影響する。
プレッシャーとの戦いの日々でもあった。(福利厚生はかなり手厚かったのでブラックとまではいかないが)

そんなある日。
朝礼で上司が話している間に「ドサッ」と何かが床に落ちる音がして、振り向いたら後輩が意識を失って倒れていた。
後輩は20代前半の女子社員。
スラリと背が高く、細くてきれいな子だった。(ちなみに私はがっしり体型だった)
呼吸はあるものの、最初は呼びかけても返事はなかった。
救急車を呼んでいる間、ブラウスのボタンを緩め、安静にした。

しばらくすると後輩は意識を取り戻したが、フラフラで歩ける状態ではなかった。
「大丈夫です、すみません」と口にしていたが、仕事どころではないということで、病院で診てもらうこととなった。
教育係をしていた私が後輩の病院まで付き添いをすることになった。
他の社員は通常業務に戻っていった。

救急隊員に倒れた時の状況を説明し、救急車に同乗する。
車内では、後輩は呼吸マスクを着けていたような気がする。
救急隊員との会話はほとんどなかった。
後輩は青白い顔をして目を閉じていた。

市立病院に到着したのは9:30頃。
後輩は別室へ移動し処置を受ける。
状況を会社へ電話で報告。
しばらく面会は難しいとのことで、私は待合ロビーで待機することになった。
私は時間を持て余していた。

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色々考えた。
後輩が倒れた原因はやはり仕事のノルマのストレスだろうか。
大学を卒業してすぐにこの会社に就職して、新卒の子にこのノルマはかなり厳しいだろうな、と私は思っていた。(ちなみに私は2社目だった)
後輩は地元に彼氏がいて、遠距離恋愛になってしまったことが大変と言っていたが、それもあるのだろうか。
新天地で孤独で、とても寂しい思いをしていて、ホームシックになってしまったのかもしれない。

などと、後輩のバックグラウンドを想像しながら倒れた原因に思いを馳せていたのだが。


この後、後輩に面会ができたのはお昼過ぎだった。
後輩が倒れた原因は栄養失調だった。
点滴をし、数時間睡眠をとった彼女の体調はそれなりに回復していた。
医師からも「ちゃんと栄養を取りなさい」と言われて帰ってよいことになった。

聞くと後輩はひとり暮らしで、自炊はほとんどせず、食事をスナック菓子で済ませることも多いとか。
一緒に食事をした時も、「私野菜嫌いなんです」と言って、野菜を食べているところを見たことがない。

…そりゃー、倒れるわ。

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今回の教訓
・主食がスナック菓子だと栄養失調になり倒れることも。ビタミンやミネラルも、大事。
・「スラリと細くてきれい」と「健康的にきれい」は別物。
・市立病院のような大きな病院にお世話になる場合は半日潰れることを覚悟すべし。