新型コロナウィルスの検疫とテレビのテロップに思うこと

ちょっと前、テレビで新型コロナウィルスについて議論する番組を見ていた。
あるコメンテーターの発言。要約するとこうだ。
「日本も空港の水際対策が重要だが、検疫はあってないようなもの。誰もが自分は大丈夫と思い込む。旅行や帰省で予定が詰まっている人が、わざわざ空港で自己申告なんてしない。解熱剤を飲んででも検疫をパスしたいと思う人の方が多数だろう」
残念ながらこのコメンテーターの発言には同意する。


2009年春ころ、豚インフルエンザ(現在は新型インフルエンザと呼称)が流行った時のことを鮮明に思い出す。
当時私は夫婦でちょうどドイツに旅行中だった。
その頃はまだメキシコやアメリカで感染者発見レベルで、それほどはやってはいなかった(はず)。
日本を出国する時はそれほど騒がれていなかった(と記憶している)。

日本に帰国する少し前に世界的に流行がはじまった(と思われる)。
私の帰国前か後かは不明だがドイツでも感染者が見つかっていた。
心配した家族が私の携帯にメールを送ってくれた。(ロングメールだけは海外でも送受信できた)
内容は確か「豚インフルエンザが世界で流行っていて、成田空港で発症が確認された人はホテルに長期間隔離されている。そちらは大丈夫?」といったもの。
そのメールにより、私たち夫婦は不安に陥った。

「大丈夫?」もなにも。
何も情報がないのだ。

ただでさえ言葉の通じにくい海外にいて、当時は海外未対応ガラケー。情報をすぐ検索できる環境はなかった。
現地のテレビでは、豚インフルエンザについて報道していそうな番組があっても、ドイツ語なので理解ができない。
日本の番組と違い、バラエティやワイドショーらしき番組にはテロップは全く出ない。(もし出たとしてもドイツ語は理解不能だったと思うが)

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一方、日本のテレビはどのチャンネルに回しても何かしらのテロップが流れている。
テロップのおかげでテレビをつけた瞬間に誰が、どこで、何をやっている状況なのかが大体把握できる。
映画の吹き替え版と字幕版を同時に見ているようなものだ。
聞き流しもできるし、なんなら無音でも番組内容はわかる。
日本のわかりやすいテレビ演出に慣れてしまっているので、「海外でテロップなしで内容を理解する」というのは私にはハードルが高すぎる。
というわけで、自分たちで得られる情報はゼロに等しかった。

そんな不安な状況の中、北京首都国際空港を経由して成田空港へ戻る予定だった。

驚いたことに、ドイツから北京空港へ向かう飛行機の搭乗者、ほぼノーマスク。
空港の待合ロビーでも、飛行機の機内でも、検疫ゲートでもだ。
北京から成田も同様。みんなノーマスク。
未知のウィルス流行中の時期には、国際空港では誰もがマスク位は当然しているものだと思っていた。

厳重にマスクをして対策をしていそうなのは私たち夫婦だけだったかもしれない。
季節が初夏で、マスクをつけると暑苦しいというのも理由の一つだったかもしれないが。
そんな中にいると、マスクをしている私たちの方がおかしいとすら感じてくる。
私たち以外の大半の人が「正常性バイアス」に支配されていたのではないか。

何事もなく検疫をスルーしていく人々に交じって、私たちもゲートを通過する。
それと同時に私自身も「なーんだ、やっぱり大丈夫じゃん、心配して損した」なんて思ったものだ。

その後、2011年に東日本大震災で被災し、「自分だけは大丈夫」なんて考えは脆くも崩れ去ったのだが。

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今回の教訓
・何事も対策はしすぎるほどしておいた方がよい。(何もなければそれでよいのだから)
・ニュース以外のドイツのテレビ番組にテロップは出なかった。(現在はどうか知らないが。)それと比べると日本のテレビ番組のテロップ出現率は異常。
・テロップの多い番組は、例えると映画の吹き替え版と字幕版を同時に見ているようなもの。(個人的感想)